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後期研修[民医連関西臨床研修センター]

近畿地協精神科基礎研修プログラム

2006年5月17日
近畿地協精神科責任者会議
1. 研修目標(GIO: General Insructional Objectives)

(1). 自己成長する臨床精神科医としてのアイデンティティを確立する.
(2). 一般精神科臨床における総合的臨床能力を獲得する.
(3). 民主的集団医療のチームリーダーとして機能するために必要な能力を獲得する.
(4). 地域精神保健活動に必要な能力を獲得する.



  • 2. 行動目標(SBOs: Specific Behavioral Objectives)

    2.1. 1年目終了までの到達目標:入院患者の診療ができる.
     
    a. 別項に記すクルズスを受け,研修初期に必要な基本的知識を身につける.
    b. 統合失調症など,主要な入院精神障害例を担当し,主治医として診療する.
    c. 外来予診および入院初期の面接で現病歴や既往歴,家族歴等を聴取し,カルテに記載する.
    d. 症候を自ら把握し,精神医学用語を使ってカルテに記載し,身体的検査を行う.
    e. 従来診断(伝統的診断)のみでなく操作的診断も使用して診断する.
    f. 主治医として担当患者と定期的に面接し,患者および家族と治療関係を築く.
    g. 主要な向精神薬について学習し,担当した入院患者に対して薬物療法を行う.
    h. 修正型電気けいれん療法について学習し,適応を判断して自ら実施する.
    i. 病棟カンファレンスにおいて各職種の意見をまとめ,方針を策定する.
    j. 入院患者を退院させ,外来通院に定着させる.
    k. 精神保健福祉法およびその他関連法令について学習し,入院治療に必要な法的手続を実施する.
    2.2. 2年目終了までの到達目標:外来患者の診療とリハビリテーションの指示ができる.
     
    a. 神経症性障害や人格障害など,主要な外来精神障害例を担当し,主治医として診療する.
    b. 外来患者から現病歴など必要な情報を聴取し,症候を評価した上で診断し,カルテに記載する.
    c. 個人病理を取り巻く諸関係をも把握して力動精神医学的に診断し,カルテに記載する.
    d. 入退院や休養,復職の判断などを自ら行い,治療計画を立てる.
    e. 外来患者の主治医として薬物療法と支持的精神療法,リハビリテーションを行う.
    f. 主要な心理検査を学習し,検査を指示してその結果を利用する.
    g. 患者のケースワークの依頼を行ったり,障害者手帳や障害年金などの診断書を作成する.
    h. コンサルテーション精神医学を学習して,一般科からの依頼に対応する.
    2.3. 3年目終了までの到達目標:臨床精神科医として広範な知識を学習し,治療チームを運営する.
     
    a. 精神保健指定医取得のために必要な症例の全てを主治医として担当し,これらについてレポートを作成する.
    b. 精神分析療法や行動療法,認知行動療法,集団精神療法,家族療法などの精神療法を学習し,診療に活かす.
    c. 病棟医などとして治療チームのリーダーとなり,治療スタッフの学習会で講師を務める.
    d. 学校精神保健,労働精神保健,地域精神保健などの活動について学習し,外部で講師活動をする.
    e. 地域精神保健・医療における各機関の機能と現状を学習し,これらと連携をとる.
    f. 自県連の精神科医療構想について考察し,これの策定に関与する.


    • 3. 研修方法

      1. 基本構造
       
      1) 精神科患者の主治医として主体的にこれの診療を担う.
      2) 目標の獲得に必要な時間および手段はこれを保障する.
      3) 研修医は定期的に指導医のスーパーバイズを受ける.
       
      a. 1年目および2年目は原則として週1回指導医のスーパーバイズを受ける.
      b. 1年目は原則として全担当症例についてスーパーバイズを受ける.
      c. 2年目は原則として新たに入院となった症例の全てと外来で診療に当たっている症例の全てについてスーパーバイズを受ける.
      2. 病棟研修
       
      1) 1年目は毎日病棟単位を保障する.
      2) 原則として週1回行われる急性期治療病棟の回診に参加し,診察を見学するとともにレビューに参加する.
      3) 病棟カンファレンスを定期的に行う.
      4) 月次ないし年次に応じて,研修医の担当入院患者数には上限を設ける.但し,研修医自身が希望し,プログラム責任者および指導医が認めた範囲においてこれを超過することは禁止しない.
       
      a. 1ヶ月目までは慢性長期入院患者数名を限度とする.
      b. 3ヶ月目までは慢性長期入院患者数名に加えて,3名までを限度とする.
      c. 6ヶ月目までは慢性長期入院患者数名に加えて,7名までを限度とする.
      d. 1年目までは慢性長期入院患者数名に加えて,10名までを限度とする.
      e. 2年目は計20名を限度とする.
      f. 3年目は計25名を限度とする.
      3. 当番医(緊急・当直)研修
       
      1) 研修開始後3ヶ月間に緊急医見習いとして上級医に帯同し,最低限の緊急医業務・対応を習得する.
      2) 4ヶ月目より週1ないし2日の緊急医を担当する.
      3) 研修開始後5ヶ月間に最低4回の輪番当直に帯同し,最低限の当直医業務・対応を習得する
      4) 6ヶ月目より当直を担当する.
      5) 6ヶ月目以降の研修医は原則として各々に固定して割り当てられた曜日の当直を担うことで,週1回程度の当直を経験するものとする.但し,過重な負担とならないよう,プログラム責任者および指導医がその頻度を適宜検討する.
      4. 外来研修
       
      1) 特に1年目は,可能な限り上級医の外来診察に陪席する.
      2) 1年目は可能な限り外来初診患者の予診を担当する.
      3) 1年目は自身が入院治療を担当した患者の退院後外来通院についてのみ外来診療を担当し,初診および代診は担当させない.
      4) 原則として2年目より週1ないし2単位の外来を担当する.
      5) 原則として3年目には自県連において週1ないし2単位の外来を担当する.
      6) 年次に応じて,研修医の外来単位数には上限を設ける.
       
      a. 1年目は患者に公表された外来単位を持たず,自身が入院治療を担当した患者のうち退院後も主治医として担当する患者の診療にのみ当たることとする.
      b. 2年目は毎週約2単位の外来診療を担うものとする.
      c. 3年目は,自県連の外来単位も含めて,約3単位の外来診療を担うものとする.
      5. 学習等
       
      1) 研修開始後1年までに以下に定める基本的なテーマについて上級医の講義(クルズス)を受ける.
       
      I. 研修開始1ヶ月以内に実施されるべき項目
       
      1. 吉田病院精神科の治療構造
      2. 吉田病院精神科における治療に必要な諸規則
      3. 他医師担当患者との関わり方,診察場面以外での患者との関わり方
      4. 精神科予診および診察の基礎
      II. 研修開始1年以内に実施されるべき項目
       
      5. 精神保健福祉法およびその他関連法令
      6. 精神障害の分類と診断学総論
      7. 精神科治療学総論
      8. 薬物療法総論
      9. 活動療法(作業療法)概説
      10. 面接方法論と精神療法の初歩
      11. 統合失調症・気分障害概論
      12. いわゆる神経症とその周辺障害の治療
      13. 障害論と精神科リハビリテーション(各専門職とチーム論を含む)
      14. 地域精神医療(各地域資源と活動団体を含む)
      15. 精神医療の歴史と現状
          
      2) 原則として週1回開催される抄読会に参加し,文献を学習するだけでなく,適宜文献を紹介する.
       
      最近の精神医学の動向について学習することを目的とする.
      過去1年以内に発行された精神医学関連論文等を対象とする.
          
      3) 以下に定める基本的な文献について自習する.
       
      I. 精神医学教科書
       
      1. 大熊輝雄:現代臨床精神医学 改訂第10版.金原出版,東京,2005.
      2. 井上令一,四宮滋子監訳:カプラン臨床精神医学テキスト DSM-IV-TR診断基準の臨床への展開 第2版.MEDSI,東京,2004.
      3. 市橋秀夫,黒沢 尚,皆川邦直編集:精神分裂病 精神科プラクティス.星和書店,東京,1991.(絶版)
      II. 薬物療法
       
      4. 風祭 元:向精神薬療法ハンドブック 改訂第3版.南江堂,東京,1999.
      III. 面接方法
       
      5. 土居建郎:新訂 方法としての面接 臨床家のために.医学書院,東京,1992.
      6. 笠原 嘉:予診・初診・初期治療 改訂版 精神科選書1.診療新社,大阪,1997.
      7. 原田憲一:意識障害を診わける 改訂版 精神科選書2.診療新社,大阪,1997.
      8. 成田善弘:精神療法の第一歩 改訂版 精神科選書7.診療新社,大阪,2000.
      IV. 精神科看護
       
      9. 中井久夫,山口直彦:看護のための精神医学.医学書院,東京,2001.
      V. その他
       
      10. 大熊輝雄:脳波判読 step by step 入門編 第3版.医学書院,東京,1999.
          
      4) 以下に定める学習課題について,自ら整理する.
       
      I. 研修開始2年以内
       
      1. 精神障害の分類と診断学総論
      2. 精神科治療学総論
      3. 向精神薬の使い方
      4. 面接方法論と精神療法の初歩
      5. 統合失調症
      6. 気分障害(躁うつ病)
      7. てんかんと臨床脳波学の基礎
      II. 研修開始3年以内(必須とされる項目)
       
      1. 神経症と周辺障害(心身症,ストレス性疾患を含む)
      2. アルコール依存症と薬物依存症
      3. 活動療法の概論
      4. 特殊精神療法の概論(精神分析療法,行動療法,森田療法,内観療法など)
      5. 精神科リハビリテーション論(各専門職とのチーム論を含む)
      6. 地域精神医療概論(地域資源と活動団体を含む)
      7. 精神医療の歴史と現状
      III. 研修開始3年以内(望まれる項目)
       
      1. 老年期精神障害(意識障害と認知症を中心に)
      2. 児童・思春期精神障害
      3. 人格障害
      4. 集団精神療法概論
      5. 家族療法概論
      6. リエゾン精神医学概論
      7. 産業精神医学概論
      8. 司法精神医学概論
      6. 症例検討等
          
      1) 原則として週1回開催される症例検討会に全精神科医師とともに参加し,議論に参加するだけでなく,適宜症例を提示する.
      2) 原則として週1回開催される研修医症例検討会に指導医とともに参加し,議論に参加するだけでなく,適宜症例を提示する.
      3) 近畿地協精神科合同カンファレンスに参加する.


    4. 研修プログラム進行表

    4.1. 1年目研修医
    経験月数 1ヶ月 3ヶ月 6ヶ月 12ヶ月
    担当入院患者数 慢性期患者数名 +3名 +7名 +10名
    病棟研修 副指導医ペア 申し送り参加・病棟単位保障・病棟カンファレンス
    外来研修 副指導医ペア 新患予診・外来陪席・退院患者診察
    緊急 緊急見習(3ヶ月目)/緊急担当(4ヶ月目)
    当直 輪番見習
    (5ヶ月目)
    当直

    4.2. 2年目研修医
    経験年数 2年目 3年目
    担当入院患者数 約20名 約30名
    外来単位数
    約2単位/週
    約4単位/週
    (自県連での単位を含む)
    その他の業務分担 当番医・副病棟医 当番医+病棟医+委員会責任者



    5. その他
    5.1. オリエンテーション・チェックリスト
        
    a. 電子カルテの使い方
    b. 各職場の場所・職責者名・職員名
    c. 入院患者の顔と名前の一致
    d. 古い入院カルテ・外来カルテの出し方
    e. 病棟の週間スケジュール
    f. 外来診療におけるシステムと患者の流れ
    g. 身体管理システムならびに検査指示の出し方
    h. 活動療法(AT)およびデイケアのシステムと依頼の方法
    i. 他科診察依頼の方法
    j. 予診記録の書き方
    k. 処方の方法(院内用記号も含めて)
    l. 入院精神療法の算定システム
    m. 行動制限に関する院内システム
    n. 入院形態の種類と手続
    o. 傷病手当金・障害年金等の仕組み

    2. 研修報告書に記載されるべき項目
        
    a. 表題:精神科研修○年×月目報告
    b. 前回報告以後の週間スケジュール
    c. 入院症例(全例のリストアップ)
     
    担当症例の通し番号
    名前
    性別
    診断名
    入院形態
    入院日/担当開始日
    退院日
    d. 院外活動(講演・学習会・出張)の参加記録
    e. 読了文献
    f. 獲得目標に対する到達度
    g. その他(感想・意見・要望等)


    <2006年度指導医>
    大阪民医連
      東崎栄一 耳原総合病院
    京都民医連
      安東一郎 京都民医連中央病院
      近藤 悟 京都民医連第二中央病院
    兵庫民医連
      千古吉孝 東神戸病院
    奈良民医連
      永松孝志 平和会吉田病院



    【お問い合わせ】
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