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奈良民医連後期研修・募集要項

吉田病院精神科医師基礎研修要綱

(2004.6.改定版)


  • 1.研修目標(GIO:General Instructional Objectives)
  • (1) 総合的精神科臨床の能力を獲得する。
    (2) 地域精神保健活動の能力を獲得する。
    (3) 民主的集団医療のチームリーダー能力を獲得する。
    (4) 自己成長する臨床精神科医としてのアイデンティティを確立する。


  • 2.研修期間と研修の終了
  • (1) 精神科基礎研修は原則として2年間の一般臨床研修に引き続いて開始する。
    (2)
    精神科基礎研修は原則として3年間で終了し、終了者へは修了証書を発行する。


  • 3.研修方略

  • (1) 研修医の身分保障
    研修医は常勤として待遇され、医局会始め院内及び県連の諸会議に常勤医師として出席する。

    (2) 指導体制
      [1] プログラム責任者(以下「責任者」)として精神科歴10年以上の医師から1名を位置付ける。
      [2] 責任者は研修プログラムの作成、個々の研修医の指導・管理を担当する。
      [3] 指導医として精神科経験5年以上の医師を研修医5名に対して1名を位置づける。
      [4] 指導医は研修プログラムに基づき直接研修指導を行い、評価をし、責任者に報告する。


    (3) 研修方法
      [1] 精神科患者の主治医となって、治療を担当する。
      [2] 毎週精神科全医師の行う症例検討会と抄読会に参加する。
      [3] 行動目標を達成するための必要な研修は保障され、自ら学習課題を整理する。
      [4] 指導医から必要なスーパーバイズを受ける。
      [5] 看護者、その他医療スタッフとのカンファレンスを定期的に行う。
      【特に1年目については以下を追加する】
      [6] 毎日病棟単位を保障し、外来診察に可能な限り付き、初診患者の予診をとる。
      [7] 全主治医症例について指導医からスーパーバイズを原則毎週1回受ける。
      [8] 基本的なテーマに付いて上級医師の講義(クルズス)を受ける。
      [9] リストアップされた基本的な文献について自習する。


    (4) 研修の評価
      [1] 研修医は別に定められた機会に、研修報告書と研修評価票(自己評価、体制評価)を指導医に提出する
      [2] 指導医は上記に加えて、研修評価票(指導医用、スタッフ用)を作成して責任者に提出する。
      [3] 責任者は精神科医師部会で以下の資料を提出して形成的的評価行う。
      ・研修報告書  ・各研修評価票(自己評価、指導体制評価、指導医評価用、スタッフ評価用)
      [4] 責任者は3年目研修医について年度末に精神科医師部会で必要な資料を提出して総括的評価を行う。
      [5] 責任者は研修終了と判定した研修医に研修終了証明書を発行する。


  • 4.行動目標(SBOs:Specific Behavioral Objectives)

  • (1) 1年目終了までの到達目標:入院患者の診療ができる。
      [1] 統合失調症等、主要な入院精神障害を担当し、主治医として診療する。
      [2] 外来予診および入院初期の面接で現病歴や既往歴、家族歴等を聴取し、カルテに記載する。
      [3] 症状を自ら把握し、精神医学用語を使ってカルテに記載し、身体的検査を行う。
      [4] 伝統的診断のみでなく操作的診断基準(ICD診断基準)を使用して診断する。
      [5] 主治医として担当患者と定期的に面接し、患者・家族と治療関係を築く。
      [6] 主要な向精神薬について学習し、担当した入院患者に対して薬物療法を行う。
      [7 電気痙攣療法の適応を判断、施行方法を学習し、自ら実施する。
      [8] 病棟カンファレンスにおいて各職種の意見をまとめて方針化する。
      [9] 入院患者を退院させ、外来通院に定着させる。
      [10] 精神保健法その他関連法規について学習し、入院治療に必要な法的手続きを実施する。


    (2) 2年目終了までの到達目標:外来患者の診療とリハビリの指示ができる。
      [1] 神経症や人格障害等、主要な外来精神障害を担当し、主治医として診療する。
      [2] 外来患者から現病歴等必要な情報を聴取し、症状評価し、診断し、カルテに記載する。
      [3] 個人病理を取り巻く諸関係をも把握して、力動精神医学的診断し、カルテに記載する。
      [4] 入退院判断や休養復職判断等を自ら行い、治療計画を立てる。
      [5] 外来患者の主治医として薬物療法と支持的精神療法、リハビリテーション療法を行う。
      [6] 主要な心理テストを学習して、検査を指示し、結果を利用する。
      [7] 患者のケースワークの依頼を行ったり、障害者手帳や年金等の診断書を作成する。
      [8] コンサルテーション精神医学を学習して、一般科からの依頼に対処する。


    (3) 3年目終了まで到達目標:臨床精神科医として広範な知識を学習し、治療チームと運営する。
      [1] 精神保健指定医取得のための必須症例の全てを主治医として担当して診療する。
      [2] 精神分析療法や行動療法、集団精神療法、家族療法等の精神療法を学習し、診療に生かす。
      [3] 病棟医などの治療チームのリーダーとなり、治療スタッフの学習会で講師をつとめる。
      [4] 学校精神保健、労働精神保健、地域精神保健活動について学習し、外部で講師活動をする。
      [5] 地域精神医療・保健における各機関の機能と現状を学習し、連携をとる。
      [6] 精神保健指定医取得のための必須症例を担当してレポート作成条件を完了する。


  • 5.クルズス ─ 研修開始に当たって必要な基本事項の1年目研修講義

  • (1) 研修開始1ヶ月以内
      [1] 吉田病院精神科の治療構造
      [2] 吉田病院精神科治療上必要な諸規則
      [3] 他医師担当患者への関わり方、診察場面以外での関わり方
      [4] 精神科予診及び診察の基礎
    (2) 研修開始1年以内
      [5] 精神保健法その他関連法規について
      [6] 精神障害の分類と診断学総論
      [7] 精神科治療学総論
      [8] 向精神薬の使い方総論
      [9] 活動療法の初歩
      [10] 面接方法論と精神療法の初歩
      [11] 統合失調症と躁うつ病の治療
      [12] 神経症と周辺障害(心身症、ストレス性疾患を含む)の治療
      [13] 障害論と精神科リハビリテーション(各専門職とチーム論を含む)
      [14] 地域精神医療(各地域資源と活動団体を含む)
      [15] 精神医療の歴史と現状


  • 6.学習課題 ─ 研修各年で研修医自身が学習成果を整理しておく課題

  • (1) 研修開始2年以内
      [1] 精神障害の分類と診断学総論
      [2] 精神科治療学総論
      [3] 向精神薬の使い方
      [4] 面接方法論と精神療法の初歩
      [5] 統合失調症
      [6] 躁うつ病
      [7] てんかんと臨床脳波学の基礎


    (2) 研修開始3年以内
    【必須】
      [1] 神経症と周辺障害(心身症、ストレス性疾患を含む)
      [2] アルコール依存症と薬物依存症
      [3] 活動療法の概論
      [4] 特殊精神療法の概論(精神分析療法、行動療法、森田療法、内観療法等)
      [5] 精神科リハビリテーション論(各専門職とチーム論を含む)
      [6] 地域精神医療概論(各地域資源と活動団体を含む)
      [7] 精神医療の歴史と現状

      【望ましい課題】
      [1] 老年期精神障害(意識障害と痴呆を中心に)
      [2] 児童・思春期精神障害
      [3] 人格障害
      [4] 集団精神療法の概論
      [5] 家族療法の概論
      [6] リエゾン精神医学概論
      [7] 産業精神医学概論
      [8] 司法精神医学概論


  • 7.必読文献等(研修1年目で精読する基本的定本)

  • 〔必読文献〕
    (1) 精神医学教科書:「現代臨床精神医学」大熊、「精神科プラクティス」市橋等
    (2) 薬物療法関係:「向精神薬療法ハンドブック」風祭
    (3) 面接方法関係:「方法としての面接」土居、精神科新書シリーズ(1)、(2)、(3)
    (4) その他:「脳波のステップ・バイ・ステップ」大熊
    (5) 精神科看護関係:「看護のための精神医学」中井等
    【参考文献】「臨床精神医学テキスト」カプラン〔付記〕


    #1: 「1.研修目標」で「?臨床研究能力を獲得し学会発表する。」が提案されが、保留された。
    #2: 基礎研修要綱の中で4年目までの外部研修を明確に位置づけるべきであるとの意見が出されたが、この点についても十分な検討できず、保留された。
    #3: 抄読会と症例検討会は以下の確認で実施される。
      〔抄読会〕(1)目的: 最近の精神科医学の動向についての学習
      (2)対象: 過去1年以内の精神医学関連雑誌
      (3)方法: 全精神科医師が毎週順番に担当
      〔症例検討会〕(1)目的: 診断・治療の各医師相互検討
      (2)対象: 主治医症例
      (3)方法: 全精神科医師が毎週順番に担当
    #4: 研修開始を「原則として1年間の一般基礎研修」後について、学会認定医制度の関連で今後検討が必要との意見があったが、現状では変更不要とされた。
    #5: 「研修終了者へは修了証書を発行」に異論も提出されたが、保留された。[1994.6.12迄の総括]
    #6: 1年目研修医のスーパーバイズは研修指導責任者が行う事を再確認する。
    #7: 心理テストの学習と利用は1年目では獲得困難である、という意見が支配的であったため、2年目迄の獲得目標とした。
    #8: コンサルテーション−リエゾン精神医学について、2年目で一般病棟担当医として学習できるのはコンサルテーション精神医学のみであり、リエゾン精神医学はこれ迄の3年目よりむしろ4年目の課題、という議論があり変更した。
    #9: クルズスで研修開始直後になされるべきは4項目であり、D〜Gは3か月以内よりむしろ遅い方が効率的であるという議論があり、1年以内に含めた。[1996.6.30迄の総括]
    #10: 2年目の一般病棟コンサルテーション担当医の役割にはより研修的な位置づけが必要で、患者の精神科主治医になることは困難であるという議論があり、コンサルテーション担当の研修システムを改善し明文化した。[1999.1.31迄の総括]
    #11: 臨床研修義務化に対応する研修要綱見直し改訂、用語や研修期間の統一、必読文献の改正と参考文献を追加した。また電子カルテ導入により研修導入1ヶ月のチェックリストの改訂をした。【2004年1月総括】
    #12: 厚生労働省臨床指導者研修を受けて研修要綱含め全般の改訂した。【2004年6月責任者提案】


    【研修進行モデル表】
    経験月数 1月目 3月目 6月目 12月目
    患者数 慢性患者数名 慢患+3名 慢患+7名 慢患+10名
    病棟 オーベンペア 朝申送り参加・毎日病棟時間保障・患者カンファレンス
    外来 オーベンペア 新患予診・医師診察見学・退院患者診察
    担当 -----

    緊急担当見習い

    緊急担当医・日当直開始

     

    経験年数 2年目 3年目
    患者数 〜計20名 計25名〜30名
    外来 毎週約2単位(+夜診) 毎週約3単位(+夜診)
    担当 一般病棟担当・副病棟医 同左+病棟医+委員会責任者


    オリエンテーション・チェックリスト
    □電子カルテの使い方

    □各職場の場所

    □各職場の職責者名・職員名

    □入院患者の名前と顔の一致

    □入院患者の古いカルテの出し方

    □病棟の週間スケジュール

    □外来診察時の患者流れシステム

    □外来患者の古いカルテの出し方

    □検査指示の出し方

    □ATの指示の方法とシステム

    □他科の診察依頼の方法

    □身体管理システム

    □予診記録紙の書き方

    □処方の方法(別の意味など)

    □入院精神療法のコストシステム

    □行動制限のシステム

    □入院形態の種類と手続き

    □障手、障害診断書等のシステム

    □DCの依頼の方法とシステム

     



    研修報告の書き方(総括、基礎研修員会等提出用)

    表題:精神科基礎研修○年×月目総括、又は精神科研修報告(○月〜×月)

      1. 前回報告以後の週間スケジュール(変化なければ省略)
      2. 入院症例(通算全例リストの報告)(受持通算通しaA名前、性別、診断名、入院形態、受持開始日、退院日)
      3. 講義・学習会・抄読会(開催日、テーマ、感想)
      4. 出張(出張月日、目的、感想)
      5. 読了文献(文献名、感想)
      6. 獲得目標への到達度
      7. 研修評価表(到達度自己評価表と研修指導評価表)
      8. その他(感想,意見、要望等)

    「精神科研修評価用紙」
    Word形式 (67KB)

    PDF形式 (183KB)
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